改正後もNISA制度を資産形成に活用しよう
※このコラムは「三井住友カードBiz」2022年9月号に掲載されます。
新一般NISA制度の開始や、ジュニアNISAの終了などを控え、あらためて注目度が高まっているNISA制度ですが、今回は制度の内容や変更内容、活用方法などについてご紹介していきます。
■NISA制度の概要について
通常、金融商品に投資をした場合、譲渡益や配当金に対して約20%の税金がかかります。
これに対してNISA制度では非課税投資枠が設定され、この枠内で購入した株式や信託等から得た利益には課税されません。国民の投資・資産形成を後押しし、経済成長を促すことを目的とした税制優遇制度となります。
■NISAの種類について
1. 旧一般NISA
20歳以上で開設することが出来ます。投資信託だけでなく個別株式も対象商品となり、選べる金融商品が豊富なことや、投資方法も一括購入・積立投資のどちらでも選べることから自由度が高い点が特徴となっています。年120万円まで非課税で投資が出来、各年の投資について5年間運用することができます。新規の投資は2023年まで可能となっています。
2. つみたてNISA
こちらも20歳以上で開設することが出来ます。少額での長期・積立・分散投資を支援するための投資信託を対象とした非課税制度です。非課税期間は20年間となります。対象商品の条件には販売手数料がゼロであることや、信託報酬が一定以下であることが条件に規定されており、コストを抑えることで資産形成にプラスに働きます。年間40万円の非課税枠の中で購入タイミングを各月に分散する積立投資により、値動きの影響を緩和し安定した投資に繋がります。なお、NISAは一人につき一口座の保有となり、一般NISAとの併用は出来ません。
3. ジュニアNISA
こどもの資産形成を支援するための株式・信託等を対象とした非課税制度です。20歳未満なら加入が可能で、非課税期間は5年間、非課税枠は年間80万円となります。こちらは2023年末で制度終了が決定しております。
<2023年までのNISA>
旧一般NISA | つみたてNISA | ジュニアNISA | |
対象年齢 | 20歳以上 | 20歳以上 | 20歳未満 |
対象商品 | 上場株式、投資信託、ETF、REIT | 金融庁の基準を満たす投資信託、ETF | 上場株式、投資信託など |
投資方法 | 一括購入、積立 | 積立 | 一括購入、積立 |
非課税期間 | 5年間 | 20年間 | 5年間 |
非課税投資枠 | 年120万円 | 年40万円 | 年80万円 |
新規投資期間 | 2023年まで | 2037年(改正後2042年)まで | 2023年まで |
■制度改正内容について
1.新一般NISAへ
2024年から一般NISA制度が変更となり、非課税投資枠が積立投資部分の20万円と、従来の株式等投資部分の102万円に分かれ「2階建て」になります。1階の積立投資部分は「つみたてNISA」と同じ商品を、2階の株式等投資部分は旧一般NISAと同様の対象商品をそれぞれ購入することが出来、それぞれ投資対象が異なります。投資可能期間は2024年から2028年までで、非課税期間は投資から5年間となります。また、新NISAでは2階部分を利用するためには原則1階部分の積立投資部分を利用することが前提となっている点も大きな特徴となります。
<新一般NISA 年122万円非課税>
2階 一括、積立投資 102万円 上場株式、投資信託、ETF、REIT 「旧一般NISA」と同様の対象商品が購入可 |
1階 積立投資 20万円 投資信託、ETF 「つみたてNISA」対象商品のみ購入可 |
<2024年からのNISA>
新しいNISA | つみたてNISA | |
対象年齢 | 18歳以上 | 20歳以上 |
対象商品 | 2階部分 上場株式、投資信託、ETF等 1階部分 つみたてNISAと同様 |
金融庁の基準を満たす投資信託、ETF |
投資方法 | 2階部分 一括購入、積立 1階部分 つみたてNISAと同じ |
積立 |
非課税期間 | 5年間 | 20年間 |
非課税投資枠 | 年120万円 | 年40万円 |
新規投資期間 | 2023年まで | 2042年まで |
2.つみたてNISAの変更点
投資可能期間が従来は2037年まででしたが5年延長されることとなり、2042年まで投資を行うことができるようになりました。また、新一般NISAに1階の積立投資部分ができたことにより、新一般NISAの5年間の非課税期間が終了した後につみたてNISAに引き継ぐといったことも制度活用方法の一つとして選択できるようになりました。
3.ジュニアNISAの変更点
従来では非課税期間終了後も18歳になるまでに払い出すと課税されてしまうというデメリットがありましたが、制度終了に伴い2024年以後は非課税期間内ならいつでも売却、払い出しを行うことが可能となりました。自由度が増したことで、短期間の投資でも非課税枠を活用しようと駆け込みで加入される方が増えています。
■非課税での運用継続(ロールオーバー)について
NISAは非課税期間が終了した後でも、翌年の枠を活用して非課税で運用を続けることが可能になるケースがあります。翌年以降新規で投資を行う予定が無い場合で、過去の投資についてより長く非課税で運用を行いたいときは、ロールオーバーの手続きをとる必要があります。
(例1)旧一般NISAから新一般NISAへのロールオーバー
(1) 2019年に旧一般NISA枠で120万円の株式を購入
(2) 2023年の非課税期間終了時に新一般NISAへのロールオーバーを申し込み
(3) 最長2028年まで非課税での運用が可能になる。
(例2)新一般NISAからつみたてNISAへのロールオーバー
(1) 2024年に新一般NISA枠で20万円の積立投資信託と102万円の株式を購入
(2) 2028年の非課税期間終了時につみたてNISAへのロールオーバーを申し込み
(3) 20万円の積立投資信託部分は最長2047年まで非課税での運用が可能になる。
■活用方法にについて
1.一般NISAは対象商品や購入方法の自由度が高いため、どちらかといえば投資経験者の方に向いている制度と考えられます。一括購入は市場の値動きの影響を大きく受けるため、その分損益は大きくなります。元本割れのリスクを負ってでもより大きい利益を獲得したい、そういった方には非課税枠も大きい一般NISAの活用をおすすめします。
2. つみたてNISAは特に投資初心者の方で不安が大きい方におすすめです。積立による分散投資は市場の値動きの影響を緩和し、投資に安定性が増します。長期的にゆっくりとお金を増やしていき、マイホーム購入・老後資金準備といったお金が必要となるタイミングに備えて運用を行いながら貯蓄していきたいという方に向いています。
3.ジュニアNISAは子どもの教育資金や養育費などの出費に備えるために、運用を行いながら貯蓄したいという方に向いています。またジュニアNISAは子どもが20歳になれば成人向けのNISA口座が開設されることになり保有していた商品も引き継がれます。子どもに投資への関心・知識を若い間から身に付けて欲しいという考えをお持ちの方には、金融教育ツールとしての活用も考えられます。
■まとめ
以上のように改正により大きな変化もあり、資産形成のためのツールとして関心を集めるNISA制度についてご紹介いたしました。近況では、つみたてNISAの開設数が多く、とくに20代、30代の投資未経験者の方が開設されているケースが多いそうです。
弊社では関係企業との連携を駆使し、お金のエキスパートとして様々な資産形成方法について提案、紹介業務を実施しております。将来の資金計画やライフプランニングなど顧問税理士にご相談したいとお考えの方は米本合同税理士法人までご連絡ください。
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