2023年のWindows8.1とOffice2013のサポート終了によるリスクを解説。PCの買い替えに少額減価償却資産の特例を活用。
※このコラムは「三井住友カードBiz」2023年1月号に掲載されます。
WindowsやOfficeなどのソフトウェアにサポート期間があることをご存じでしょうか。 マイクロソフト社が提供するソフトウェアにはサポート期間が定められています。 サポート期間が終了した製品を引き続き使用することはできますが、プログラムの不具合やセキュリティ上の問題点といった「脆弱性」を修正する更新プログラムが提供されなくなるため、悪意のあるソフトウェアから PC を保護できなくなり、セキュリティやコンプライアンス上の問題を引き起こすリスクが高まり危険な状態になります。
■サポート期間が終了した製品を使い続けるリスクとは
サポート期間が終了した製品を使い続けることにより高まるリスクは次の通りです。
・マルウェア(悪意のあるソフトウェア)への感染
・フィッシング詐欺やなりすましの被害
・個人情報や機密情報の漏えい
最近はマルウェアに感染したPCを勝手に暗号化して使用できなくした後に、データを「人質」にとって元に戻すことと引き換えに身代金を要求するマルウェアの一種「ランサムウェア」による被害が拡大しています。
ランサムウェアの被害は医療機関でも相次いでおり、サイバー攻撃を受けて長期間診療を停止するといった事態も発生しています。
サイバー攻撃への対策で重要なことは、利用しているソフトウェアの脆弱性に対処し続けることです。脆弱性が放置されていると攻撃者に悪用されてしまう可能性があるため、必ず対処しておくべきです。
■お使いの製品のサポート終了日を確認する
まずはお使いの製品のサポート終了日を確認して、該当する製品をご利用中であればリスク回避のため早期の買い替え検討をおすすめします。 直近ではOSの「Windows 8.1」が 2023年1月10日に、オフィスソフトの「Office 2013」が2023年4月11日にサポート期間が終了する予定です。
代表的な製品のサポート終了日一覧
製品名 | サポート終了日 |
Windows 7 | 2020年1月14日 |
Windows 8.1 | 2023年1月10日 |
Windows 10 Home and Pro | 2025年10月14日 |
Office 2013 | 2023年4月11日 |
Office 2016 | 2025年10月14日 |
Office 2019 | 2025年10月14日 |
Office 2021(現在の最新版) | 2026年10月13日 |
■PCの買い替えに少額減価償却資産の特例を活用する
購入した金額が30万円未満のPCについては、一定の要件を満たす中小企業者等であれば少額減価償却資産の特例により全額を費用に計上できます。 一定の要件を満たす中小企業者等とは、青色申告書を提出し、常時使用する従業員が500人以下で、資本金が1億円以下の法人です。 一会計期間でこの特例を利用できる限度額は合計で300万円ですが、超えた部分でも単価が20万円未満のものについては一括償却資産として金額に制限なく3年で均等に償却が可能です。
税制上の処理方法
購入時の金額 | 処理方法 | 償却期間 | 条件 |
10万円未満 | 消耗品費 | 一括 | |
10万円以上20万円未満 | 一括償却資産 | 3年 | |
10万円以上30万円未満 | 少額減価償却資産の特例 | 一括 | ・一定の要件を満たす中小企業者等 ・一会計期間の限度額は合計300万円 |
■オフィスソフトの買い替えはサブスクリプション版も検討
お使いのPCによってはOSのサポート期間は残っているが、オフィスソフトのみサポート期間が先に終了するケースが考えられます。 例えばOSがWindows10でオフィスソフトがOffice2013の組み合わせなどです。 この場合はPCを含めて買い替える、またはオフィスソフトのみを買い替えてPCは継続利用する方法を選択できます。
先ほどのサポート終了日一覧をご覧いただくとお気づきになられると思いますが、現在の最新版のOffice2021はサポート終了日が2026年10月13日となっており、現時点で残りのサポート期間が4年以下と、利用できる期間が短くなっています。 Officeのサポート期間は年々短くなっており、現在は発売から5年ほどでサポート期間が終了します。
上記のような理由もあり、最近ではOfficeの購入は買い切り版ではなく、利用期間に応じて料金を支払うサブスクリプション版を検討するケースが増えています。サブスクリプション版は月額または年額利用料を支払うことで、常に最新版のOfficeを利用できるため、サポート終了日を気にせず利用できます。
また、PC購入時に付属する買い切り版のOfficeと比較して、テレワークに活用できる機能が充実していることや、タブレットやスマートフォンでもOfficeを利用できる強みもあります。 PCを含めて買い替える場合は、Officeの付属しない10万円以下のPCを選択してコストを抑え、Officeのみサブスクリプション版を契約して利用することで、PCを消耗品費として計上することも可能です。
サブスクリプション版のデメリットは、従来の買い切り版のOfficeに比べて長期間使うと割高になることですが、サポート期限に合わせた定期的な買い替えの手間が省けますし、サブスクリプション版のみ使用できる便利な機能も多くありますので、買い替えの際は検討されてみてはいかがでしょうか。
【参考】Officeの購入方法(契約方法)の種類
・プリインストール版のOffice
プリインストール版はPCに付属し最初からインストールされている方式の製品です。買い切りで継続利用料金は発生しません。プリインストール版は付属するPCでのみ利用でき、別のPCにインストールはできません。 価格は永続ライセンス版と比較して1万円ほど安くなっています。 製品にはサポート終了日があります。
・永続ライセンス版のOffice
永続ライセンス版はPCとは別売りの製品です。買い切りで継続利用料金は発生しません。特定の1名(同一人物)が利用する2台のPCにインストールして利用できます。 特定の1名の方が社内用のデスクトップPCと社外用のノートPCの2台を使うケースなどではプリインストール版より価格面で有利になります。 製品にはサポート終了日があります。
・サブスクリプション版
サブスクリプション版は月額または年額利用料を支払うことで利用できる方式の製品です。プリインストール版や永続ライセンス版と違い、常に最新のOfficeを特定の1名(同一人物)が利用する概ね5台までの複数のPC、タブレット、スマートフォンで利用できます。 常に最新のOfficeを利用できるため原則としてサポート終了日はありません。 長期間使うとプリインストール版や永続ライセンス版に比べて割高になります。
■最後に
製品のサポート終了日はマイクロソフト社のWindowsやOfficeだけでなく、様々なメーカーのソフトウェアや機器にも設定されています。 セキュリティ対策で大事なことは、ソフトウェアや機器の不具合や問題点を放置せずに、適切に維持管理していくことです。 まずは第一歩として社内にサポート期間が終了したソフトウェアや機器がないか確認してみてはいかがでしょうか。
弊社では顧問先の企業様に向けて少額減価償却資産の特例のご説明や、具体的事例に合わせた対応方法をご提案させていただいております。またITの専門家も在籍しておりますので、セキュリティ対策にご興味のある方は、一度お問い合わせをお願いいたします。
このページを見た人はこんなページも見ています
お気軽にご相談ください。
無料相談のお申込みも受け付けております。
お電話のお問い合わせはこちら
0120-938-563
メールでのお問い合わせはこちら