個人事業主の方必見!法人成りを検討すべき場合とは
※このコラムは「三井住友カードBiz」2025年6月号に掲載されます。
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事業を始めた際の目標のひとつと言われている法人成り。今回は法人成りを検討した方が良いケース、反対に法人成りをしない方が良いケースについて代表的なものを解説いたします。
また後半では法人成りの手続きについても確認していきます。
【1】法人成りを検討した方が良いケース
(1) 所得が1,800万円超ある
所得が1,800万円を超えると、その超える部分については所得税・住民税で約50%の税率が課税されます。法人(所得800万円超)の実効税率が33~35%ほどなので、税率差分のメリットがあります。
なお所得1,800万円以下であっても、下記(2) 以降に該当する場合は検討の余地がありますが、少なくとも900万円はあった方が良いと思います。
(2) 将来的に資金を多く残したい
上記の(1) 以外にも、法人成りは退職金の活用、所得分散、生命保険の活用などによって、個人事業主でいるよりも資金を多く残すことが可能です。そのような希望がある場合には法人成りを検討する必要があります。
(3) 事業を引き継ぐ後継者がいる
個人事業主が事業を引き継ぐ場合、事業資産は個別に引き継がせる必要がありますが、法人の場合は株式で引き継がせるので、手続きが容易で引き継ぐ際の税負担が軽減できることもあります。
株式を引き継がせる場合は、毎年の贈与によって行うことが一般的です。
(4) 対外的な信用力を上げたい
一般的には個人事業主よりも法人の方が信用力が高いです。また法人でなければ取引しない企業もありますので、そういった場合は法人成りを検討するタイミングと言えます。【2】法人成りをしない方が良いケース
(1) 所得が695万円以下
所得が695万円以下の場合、所得税・住民税で高くても約30%の税率となり、法人(所得800万円以下)の実効税率(21~23%)より高いですが、生活のために役員報酬をそれなりに支給することとなると個人にばかり課税され、法人に法人税が課税されず節税効果が出にくいので少なくとも900万円以上は所得があった方が良い場合が多いです。
(2) 当面の個人の可処分所得(手取り・手残り)を多くしたい
法人成りをすると、個人へは法人から役員報酬という形で支給されます。詳細は省略いたしますが、個人への支給の際に所得税がかかる関係上、個人の可処分所得(手取り・手残り)は少なくなります。
あくまで法人成りは個人&法人合計の手残りを多くし、最終的に退職金など所得税の税率が低い方法で個人に資金を渡す、という形で個人にメリットを残しますので、当面の個人の手取りを増やしたい場合は法人成りはむしろ不利になります。
(3) 社会保険料の負担が気になる
法人成りをすると、従業員数に関わらず社会保険に強制的に加入する必要があります。(個人事業主は5人以上)
福利厚生の面からすると必ずしもデメリットとは言えませんが、負担が大きいと感じるうちは法人成りは控えた方が良いかもしれません。
【3】法人成りの手続き
法人成りの手続きについては、下記の流れとなっております。
(1) 定款の記載内容の検討
定款とは会社の憲法のようなもので、運営に関するルールが定められています。その定款を作成する際、下記の項目を検討して決める必要があります。
・法人名
・事業内容
・本店所在地
・資本金の金額
・決算日
・株主や役員構成
・役員の任期
・公告方法
・設立希望日
例えば事業内容は将来行う予定のものを含めておくと後々の手続きが簡易になります。資本金は1,000万円未満だと節税効果がある、といった場合にそれぞれ注意点があるので税理士、司法書士等の専門家に相談しながら進めていくと良いでしょう。
(2) 事業資産などについての検討
個人事業で使用している資産(不動産・車両や備品などの動産・在庫など)については法人でそのまま使用することはできず、個人から法人へ譲渡するか、賃貸する必要があります。
また下記のように検討すべき事項が多く、様々な観点からの検討が必要です。
・譲渡すべきか賃貸すべきかの検討を資産ごとに行う
・譲渡や賃貸については適正な時価で行う必要がある
・譲渡の場合は所有権移転コストや譲渡所得も考慮する
・賃貸の場合も所得税がかかる
・許認可の関係で法人が所有しておかなければならない場合もある・・・など
(3) 会社用の印鑑を準備する
次に会社用の印鑑を準備します。下記の3つがあれば良いと思います。
インターネットなどで会社設立3点セット等として販売されているのでそちらで購入可能です。
・会社実印用
・銀行印用
・角印
(4) 定款の認証を受ける
公証役場にて(1) で作成した定款の認証を受けます。こちらも司法書士などの専門家に依頼可能です。
(5) 資本金の払い込み
資本金の払い込みを行います。と、言っても法人の銀行口座はまだ出来ていませんので個人の口座から個人の口座に振り込みます。振り込んだことが分かるページは後々の手続きで必要となります。「見せ金」のイメージです。
(6) 登記申請
最後に法務局にて設立登記申請を行います。こちらも司法書士などの専門家に依頼可能です。
その後、
・法人の銀行口座開設
・資本金の個人口座から法人口座への振込
・税務署への設立届出等
・個人の廃業届
・社会保険等の手続き
・許認可関係の手続き(業種による)
・賃貸借契約やリースなどの契約変更
などの手続きを行います。
大まかには以上となりますが、事業の内容等によっては別途手続きが必要な場合もあります。
また法人化にかかる手続きの期間としては一般的には1ヶ月ほどで完了しますが、上記(1) (2) の検討期間も必要なため、余裕を持って2~3ヶ月前から準備する方が良いでしょう。
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