コラム
経理業務に役立つ生成AIの手軽な活用方法

経理業務に役立つ生成AIの手軽な活用方法

※このコラムは「三井住友カードBiz」2025年7月号に掲載されます。


ChatGPTやGeminiなどの生成AIサービスが人気です。今回は経理業務で手軽に使える活用方法をご紹介します。
生成AIサービスを活用すると、紙の領収書や請求書をスキャン・撮影して得られた画像やPDFから、テキストデータを抽出・リスト化できます。これにより、従来の手作業による入力作業を効率化・省力化することが可能です。
また、データに入力漏れや異常金額などのミスがないかを、AIにチェックさせることも可能です。
人の目では見落としやすいミスも短時間で拾えるといった利点があります。


【1】紙の領収書や請求書のデータ化

スキャンした領収書や請求書などのデータを生成AIに読み込ませると、指定した項目(例:日付、金額、取引先名など)の文字認識が可能です。また、取引内容に応じて勘定科目の自動提案も可能です。
文字認識したデータは表形式などの指定した形式で出力でき、会計ソフトなどへの取り込みに利用できます。
入力作業の自動化によって、紙の帳票が多い業務の効率を向上させることができます。


◆ 利点

・時間短縮
情報を手入力する必要がなくなるため、記帳作業の時間を大幅に削減できます。

・ミスの削減
手入力による日付・金額などの誤入力リスクを軽減できます。

・分類の自動化
取引内容に応じて勘定科目を自動で提案可能です。


◆ 注意点

・読み取り精度の限界
スキャンまたは撮影した画像が不鮮明な場合、読み取りミスが発生する可能性があります。

・勘定科目の自動提案
一部取引では人による最終確認が必要です。

・税区分の判断は要注意
課税/非課税の区分は生成AIでは判断しきれない場合があります。


◆ 操作手順の例

1.画像の準備
レシートをスキャンまたはスマホで撮影し、生成AIにアップロードします。
複数枚をまとめてアップロードすることも可能です。

2.プロンプト(指示)の入力

以下のように指示します。
例:「このレシートから仕訳を作成してください。勘定科目も提案してください。レシートが複数枚ある場合は表形式で出力してください。」

3.仕訳結果の確認
出力された仕訳をチェックし、必要に応じて修正します。

4.会計ソフトへの転記
確認後、会計ソフトへ入力します。プロンプトで出力形式(項目の並び順、表示形式)を指定することで、ご利用の会計ソフトに直接取り込みできるデータを作成することも可能です。


【2】データのチェック作業

表形式やCSVデータのようなデータを読み取り、生成AIは指示された方法で必要項目の入力漏れや異常値のチェックに活用できます。人間が目視で行っていたチェック作業を生成AIが高速かつ正確に行うことで、業務時間の短縮かつ精度の向上が図れます。単なるエラー検出にとどまらず、「なぜ問題か」「どう修正すべきか」まで自然言語で提案できるのが強みです。


◆ 利点

・網羅的な確認が可能
数百件の取引でも生成AIが短時間で異常値を検出します。

・パターン学習による検知
過去の取引傾向から外れた取引を見つけやすい。

・人の目では見落としやすいミスも拾える


◆ 注意点

・ルール設定が必要
何を「異常」と判断するかは事前に条件を設ける必要があります。

・完全な自動判断は不可
生成AIの指摘は参考情報であり、最終判断は人間が行います。

・データの事前準備
チェック対象のデータをCSV等で生成AIに渡す必要があります。


◆ 操作手順の例

1.チェック対象のデータを出力
会計ソフトからCSV形式で仕訳データを出力します。

2.生成AIへデータをアップロード
CSVを添付し、以下のようにプロンプト(指示)を入力します。
例:「同一勘定科目の中で他と比べて極端に金額が大きい・小さい取引を抽出してください。異常と判断した理由も添えてリストにしてください。」

3.結果の確認・対応
指摘のあった取引を再確認し、必要に応じて修正します。


【3】利用前に適切な設定をする

生成AIを使う際に機密情報や個人情報の取り扱いには十分な注意が必要です。生成AIに入力した情報は、初期設定のままでは生成AIの改善に使用される場合があります。そのため、誤って個人情報や企業の機密情報を入力すると、将来的に第三者の出力に影響する可能性がゼロではありません。
有料版・無料版を問わず、入力した情報を学習させない設定が可能ですので、利用前に必ず確認してください。


◆ ChatGPTで「入力情報を学習に使わせない」設定方法

「チャット履歴とトレーニング」をオフにする

手順

1.ChatGPT画面右上のアカウント名をクリックします。
2.メニューから「設定」を選択します。
3.設定画面内の「データコントロール」をクリックします。
4.「すべての人のためにモデルを改善する」の項目を選択します。
5.「すべての人のためにモデルを改善する」のスイッチをオフにし「実行する」を選択します。


◆ Geminiで「入力情報を学習に使わせない」設定方法

「Gemini アプリ アクティビティ」をオフにする

手順

1.Gemini画面左下の「設定とヘルプ」をクリックします。
2.メニューから「アクティビティ」をクリックします。
3.「Gemini アプリ アクティビティ」のボタンをオフに設定します。
4.設定をオフにすると、ポップアップメッセージが表示されるので、内容を確認し、「OK」をクリックします。


生成AI各社が提供する有料の企業向けプランでは、データの非学習保証があり入力したデータがモデルの学習に使われることはなく、情報漏洩リスクが低減されます。
本格的に業務に活用するのであれば、企業向けの有料プランの導入を推奨します。


生成AIを活用することで、業務の効率化・品質向上・業務負担の軽減が可能です。
AIは万能ではありませんが、人の判断を補助する有力なツールとして、日常業務に取り入れる価値が十分あります。
まだ利用されていない方は是非この機会に試してみてはいかがでしょうか。


当社では税務会計だけでなくITに関するサポートも行っております。お困りの際はお気軽に米本合同税理士法人にご相談ください。


 

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