税理士に節税相談するベストなタイミングとは
※このコラムは「三井住友カードBiz」2025年11月号に掲載されます。
■ 事前相談が安心と利益につながる
税理士への相談は「決算直前」や「トラブル発生後」では、できる対策が限られてしまいます。
一方で、早めに相談しておけば、節税や資金繰り、補助金・助成金の活用など、多くの選択肢を検討することができます。
税理士と日頃からコミュニケーションを重ねることで、有益な提案や具体的なアドバイスを受ける機会が増え、経営の安定と利益の最大化につながります。
実行前にいつ相談するかを、会社設立法人化、新規事業投資、経費計上、決算対策、相続贈与自社株という5つのタイミングごとに、押さえるべき要点を整理しました。
◆ 目次
・タイミング(1) 会社設立・法人化の前
・タイミング(2) 新規事業・投資を始める前
・タイミング(3) 注意が必要な経費の計上前
・タイミング(4) 決算に向けた節税準備(目安:3か月前~)
・タイミング(5) 相続・贈与・自社株を検討するとき
・チェックリスト
・最後に
◆ タイミング(1) 会社設立・法人化の前
設立前の設計は、税負担・融資・承継に長く影響します。後戻りのコストを避けるため、実行前に要点を整えておきましょう。
・法人形態と決算期の設定
・株主・役員構成と持株比率
・利益予測に基づく役員報酬の初期設定
・消費税の検討(インボイス登録の可否、還付可能性の試算、課税事業者選択の要否)
・青色申告や償却方法など各種届出の締切管理
消費税は業種や初期投資・売上構成によって方針が分かれます。登録可否や届出時期は資金計画に直結するため、設立計画と同時に試算しておくと安心です。
◆ タイミング(2) 新規事業・投資を始める前
不確実性の高い局面ほど、資金を主軸に設計します。税の予測は資金繰り計画と一体で考えるのが重要です。
・資金繰り計画(単年度、5ヵ年)
・タックスプランと資金繰りの統合(税額の着地を月次キャッシュフローへ反映)
・借入金の調達額と返済ペースの妥当性
・補助金・助成金の該当可否
・税制優遇(特別償却・税額控除など)の該当可否と必要情報
期末利益の見込みから税額の目安を置き、返済・社会保険・賞与と合わせて月次キャッシュフロー予測にまで落とし込むと、投資規模や返済負担の適正が見えてきます。優遇税制の該当有無も早めに点検しておきましょう。
◆ タイミング(3) 注意が必要な経費の計上前
指摘を受けやすい支出は、目的や実態が説明できるように根拠と運用ルールを先に整えると安心です。関係会社・関係者との取引も、相場や業務フローを明確化しておきます。
・広告宣伝費の目的・期間・媒体・成果物の証跡
・車両関連費の区分と運行記録
・日当の相場、適用範囲、運用ルール
・福利厚生費と給与課税の線引き
・家事関連費の按分根拠の明文化
・関係会社・関係者との取引(不動産売買や日常的な関係会社間取引)の相場妥当性と業務フロー
これらの経費は事前準備で経費算入の要否が分かれるものです。
日頃から税理士確認を行うことで経費算入が認められるラインを掴むことができます。
◆ タイミング(4) 決算に向けた節税準備(目安:3か月前~)
決算間際ほど打ち手は限られます。納税見込みを資金計画に織り込み、無理のない準備を進めましょう。税の優遇が大きい賃上げ促進税制は教育訓練費の扱いも併せて確認します。
・納税見込みを織り込んだ資金繰り計画
・前倒し可能な経費(広告宣伝費、修繕費)
・税額控除(賃上げ促進税制・教育訓練費の要件)
・修繕費と資本的支出の区分
・貸倒損失の対象債権の洗い出しと要件(ワンイヤールール等)
・生命保険の活用方針(保障の再検討、解約返戻金ピークの管理、これらに伴う経理処理の検討)
貸倒損失は債権台帳から対象債権を特定し、取引停止の時期や督促・回収不能の経過を記録します。工事費は内容・見積内訳で区分を明確にするなどを検討します。
◆ タイミング(5) 相続・贈与・自社株を検討するとき
現状の事実関係の見える化を行います。相続人の範囲と資金の流れを早めに整理しておくと、今後の対策がスムーズになります。
・相続予定者の洗い出しと相続対策の方向性
・通帳の入出金・管理状況(名義預金・生前資金の動きのエビデンス化)
・少数株主の把握と対応方針
・共同相続人の考え方・状況(分割、遺留分、代償金)
・自社株の概算評価と承継の方向性
・小規模宅地等の特例、事業承継税制、生前贈与・遺言 等
通帳・振込記録を突合して名義預金や生前資金の区分を明確にします。少数株主の議決権や買戻し方針、共同相続人の意向も早めに把握しておくと今後の対策が進めやすくなります。
◆ チェックリスト
本文の要点をそのまま確認にいただける「行動/準備資料」欄付きのExcelチェックリストをご用意しました。
◆ 最後に
重要な意思決定の前には、必ず税理士へ
今回ご紹介したタイミングはいずれも、事後対応では取り戻しがきかないものが多く、実行前に税理士へ相談することで、税金の負担軽減、資金繰りの良化、様々なリスク回避に繋げることができます。
米本合同税理士法人ではこれらを踏まえて総合的な支援も積極的に行っております。初回面談無料ですのでお気軽にお申し付け下さい。
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