儲かっているはずなのにお金がない?経理の「曖昧さ」が招く見えない損失と解決の仕組み
※このコラムは「三井住友カードBiz」2026年3月号に掲載されます。
「利益は出ているはずなのに、なぜか手元にお金が残らない」
「休日の夜、領収書の山と格闘して時間を浪費してしまっている」
多くの経営者が抱えるこの悩み。その根本的な原因は、決して経営管理の能力不足ではなく、「公私の支払いが混ざり合う経理の仕組み」にあります。 今回は経理の曖昧さがもたらすリスクと、経営を可視化して強い財務体質を作るための「仕組み化」の具体策を解説します。
【1】経理の「曖昧さ」が経営を蝕む3つのリスク
会社のお金と個人のお金が同じ財布や口座で動いている状態は、単に「整理が大変」なだけではありません。放置すると次のような深刻な経営リスクを招きます。
(1) 経営判断の遅れ
正確な現預金残高や最新の利益が見えないと、「今、いくら投資に回せるか」が判断できません。銀行残高と帳簿が一致するのを待っている間に、攻めの投資や資金手当のタイミングを逃してしまいます。
(2) 採算の不明瞭化
費用区分が崩れ、部門別・案件別の正しい利益の把握が遅れます。原価の上昇や無駄な経費の発生に気づくのが遅れ、気づいた時には利益を圧迫している、という事態に陥りかねません。
(3) 事務コストの増大
領収書を一取引ごとに「これは私用か業務か」と思い出しながら仕分ける作業は、膨大な時間を要します。経営者や経理担当者が本来注力すべき「付加価値の高い仕事」が、この事務作業によって阻害されてしまいます。
【2】改善の3つのポイント:仕組みで「曖昧さ」を排除する
これらのリスクを排除し、経理処理をシンプルにするためには、以下の3つのポイントで「仕組み化」を図ることが重要です。
◆ ポイント1:「決済基盤」の完全分離
「財布を分ける」だけでなく、デジタル上の決済基盤を物理的に分けることが最短ルートです。
・口座、カードの分離:業務上の支払いは、必ず法人カード(事業用カード)で行うルールを徹底します。
・アカウントの分離:Amazon等の通販サイトやスマホ決済も、法人や事業用メールアドレスで「業務専用アカウント」を作成し、私用支出が入り込む余地を物理的に遮断します。
◆ ポイント2:後出しを許さない「精算締切」
「領収書が揃うまで計上しない」という習慣が月次決算を遅らせます。
・ルールの徹底:立替精算の締切日を固定し、期限超過分は原則翌月回しとします。
・スピード優先の会計:内容不明の出金は、一旦「仮払金」として処理し、まずは月次を締めます。常に「今」の数字が反映される状態を最優先に構築します。
◆ ポイント3:未清算一覧の「定期点検」
会計ソフト上の「未清算一覧」は、解消すべき課題を映し出す鏡です。
・視覚化と督促:「誰が、いつ、いくら」滞留しているかを一覧化し、定期的にチェックします。
・リスク回避:帳票未提出による計上漏れを防ぎ、適正な納税とキャッシュフロー管理を実現します。
【3】実務でそのまま使える!社内ルールと管理表のテンプレート
明日から貴社で導入いただける、標準的なルールと管理表のたたき台です。
(1) 経費精算および公私分離に関する社内規定
この規定は、会社のお金と個人のお金を明確に分けることで、経理の停滞を防ぎ、経営数字を迅速に把握することを目的としています。
【ひな形】経費精算および公私分離に関する規定をダウンロードする
(2) 未清算一覧(管理フォーマット)と運用のポイント
「未清算一覧」とは、お金は動いているものの、領収書が未提出だったり、用途が確定していなかったりする項目をまとめた「未完了リスト」です。これを毎月チェックすることで、不明金をゼロに近づけます。
【フォーマット】未清算一覧(管理リスト案)をダウンロードする
【結論】経理の透明化は「強い財務体質」への第一歩
経理を整えることは、単なる事務作業の効率化ではありません。経営の「曖昧さ」を排除し、経営者の思考を「未来への投資」へと集中させるための戦略的な取り組みです。
米本合同税理士法人ではこれらを踏まえて総合的な支援も積極的に行っております。
初回面談は無料ですのでお気軽にお申し付けください。
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