節税対策
出勤しない役員の報酬、いくらまで出して大丈夫?
事業承継の過程で実務から引退した先代の経営者を役員として残したり、現在別企業で勤務・下積み中の後継者を役員にしたりと、いわゆる「非常勤役員」がいる法人は多いです。そうした法人より「非常勤役員への役員報酬はいくらまで出して良いですか」とご質問をいただくことがよくあります。
非常勤役員への報酬「目安」
非常勤役員に報酬を出すための検討事項
非常勤役員であっても、業務内容や企業経営への貢献度等の理由から、出来るだけ報酬を支給したい場合が有ると思います。役員の報酬が是認となるためには、以下の2つの基準があります。この基準を満たせるように検討・準備を行いましょう。
1形式的な基準:株主総会
会社法では、役員報酬は定款または株主総会の決議によって定めます。あるいは、株主総会で役員報酬の総額(上限)を決めて、取締役会で各自の報酬金額を決定します。そのため、株主総会・取締役会を開催し、それを議事録として、記録に残すことが重要です。
- 特に以下の2点が確認できるように、記載しておきましょう。
- 取締役会で定めた報酬金額と実際に支給された金額が一致しているか、
- 取締役会で決めた報酬金額が株主総会で決めた上限を超えていないか、
2実質基準
①の書類上の定めの有無に加えて、業務実態と役員報酬金額が見合うかを検討する必要があります。
- 役員としての職務の内容・出勤日数や時間
- 会社の収益状況
- 社内の他の従業員への給与金額
- 同種の類似規模の法人の役員の勤務状況や報酬との比較
これらの内容を報酬金額決定時に相談・決定し、記録に残しましょう。さらに決定した業務が実行されているか日報等で記録しておきましょう。
【非常勤役員への報酬「目安」】で記載の通り、役員報酬には明確な数値基準が無いため、①・②の基準についてしっかり記録に残すことで、否認されるリスクを低減できます。
未成年者・学生への役員報酬は要注意!
【非常勤役員に報酬を出すための検討事項】の②実質基準について否認されやすいのが、未成年者の学生への役員報酬の支払です。過去の裁判例では、13~16歳の子息を取締役として役員報酬10万円を支払ったが否認された例もあります。
(東京地裁平成8年11月29日(税務訴訟資料221号7824頁))
この例では、子息の年齢と学生であること、さらに海外留学でほぼ日本にいない事から法人の経営状況を把握し、経営に関する業務を行っていたとは認められない、とされました。未成年者・学生への役員報酬は特に、実質基準を満たすのか、金額は妥当か、きっちり確認・検討・対策を講じる必要がございます。
非常勤役員への債務保証料支払いの活用も検討を!
役員報酬を払う以外にも、会社から役員に債務保証料の支払を行うなどの方法があるので、そちらも併せて検討する事で、最大限 役員に支払いを行うことが出来ます。
心配な場合は、専門家にご相談を
上記の通り、非常勤役員への役員報酬は明確な基準がないため、多くの経営者の方が支払いたい役員報酬が妥当か否か迷います。心配になった時は、経験豊富な税理士へ相談しながら報酬金額を決めることをお勧めします。
節税度 | ★★☆☆☆ |
---|---|
お手軽度 | ★★★★★ |
マイナー度 | ★★★☆☆ |
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