令和2年10月1日施行 電子帳簿保存法改正!
令和2年度の電子帳簿保存法改正によって、経費精算の処理内容が大きく変わります。
まずは、改正の内容を確認しましょう。
■ 令和2年税制改正大綱
電子帳簿等保存制度の見直し |
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国税関係帳簿書類の保存義務者が電子取引(取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいう。)を行った場合の電磁的記録の保存方法の範囲に、次の方法を加える。 (1)発行者のタイムスタンプが付された電磁的記録を受領した場合において、その電磁的記録を保存する方法 (2)電磁的記録について訂正又は削除を行った事実及び内容を確認することができるシステム(訂正又は削除を行うことができないシステムを含む。)において、その電磁的記録の授受及び保存を行う方法 (注)上記の改正は、令和2年10月1日から施行する。 |
整理すると、下記のような変更になります。
保存要件 | 改正前 | 改正後 | |
タイムスタンプ | 請求書等の発行側で付与あり | 受領者側のタイムスタンプ付与が必要(※1) | 受領者側のタイムスタンプは不要(※2) |
請求書等の発行者側で付与なし | 受領者側のタイムスタンプ付与が必要(※1) | 変更なし | |
事務処理規定の作成・運用 | 〇 | 変更なし | |
受領者がデータ改変できないシステムの利用 | ― | 新設(※3) |
(※1)受領から概ね3営業日以内にタイムスタンプを付与
(※2)上記大綱(1)
(※3)上記大綱(2)
要するに、「キャッシュレス決済の電子的明細書があれば領収書等の受領はいらない」ということになりました。以前から、クレジットカードやPayPay、交通系ICカードを使った電子決済の利用は年々増加していましたが、改正前の電子帳簿保存法では、電子的明細書について明記していなかったため、紙の領収書やレシートを添付して経費精算を行うという実務でした。なお、これまでもスマートフォンで撮影し、経費精算システムでタイムスタンプで保存することにより、紙の領収書等を不要とすることも可能でしたが、受領から3営業日以内にタイムスタンプを押せなかった領収書は電子データとして認められなかったため、社内規定や従業員への周知などややハードルが高い感があったのも事実です。そこで国税庁は、このような背景により制度改正することで、キャッシュレス決済を行う都度、その利用履歴データをキャッシュレス決済事業者から会社の経費精算システムに対して連携し、そのデータを用いて経費精算をするだけで、紙の領収書等は保存不要になります。つまり、スマートフォンでの撮影やアップロードの手間もなくなるということです。昨今のコロナ禍の中で、経費精算を行うために、出社しなければならないといった状況を改善できたり、スマートフォンでの撮影不備によるミスの防止など、リモートワークが進んだ会社には是非導入していただきたい制度になります。
◎電子帳簿保存法関係パンフレット
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/08.htm
◎電子帳簿保存法Q&A
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/07index.htm
■ 制度導入する方法
1.税務署への適用申請届出
適用を始める3か月前までに「電磁的記録による保存」「スキャナ保存」の両方又は片方に添付書類とともに申請が必要になります。なお、電磁的記録による保存は自社のPCにより作成された書類を電子保存する際に必要な届出。 スキャナ保存は紙で受け取ったで書類を電子保存する際に必要な届出になります。 会社によって必要な届出や、届出後開始できる日付には注意してください。 申請書類は国税庁のホームページで公開されていますので記載例を見ながら記入してみてください。
◎申請書等様式
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/04.htm
2.社内整備
制度を導入するにあたって、社内でも体制を整える必要があります。
◎電子帳簿保存法関係パンフレット
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/08.htm
具体的には、社内規程と設備導入を行いましょう。社内規程は、スキャナ保存を行う際の要件の一つである適正事務処理要件を満たすために必要になります。スキャナ保存前の書類の改ざん防止等の観点から下記の要件を満たした社内規程を用意する必要があります。
(1) 相互牽制…相互に関係する各事務作業について、別の者が行うこと
(2) 定期的なチェック…処理内容の定期的な検査を行う体制の用意と手続きの定め
(3) 再発防止策…処理内容の不備についてその報告及び改善の検討を行う体制があること
設備導入は、電磁的記録ができる経費精算ソフトウェア等の導入を行います。ここに関しては、国税庁が認証しているソフトウェアを利用することをお勧めします。JIIMA認証されているソフトウェアには、「楽々精算」「Dr経費精算」「マネーフォワードクラウド」「ジョブカン経費精算」などがあります。
JIIMA認証とは、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が市販ソフトウェアを対象に、電子帳簿保存法における要件歴合成の確認(認証)を行っており、電子帳簿保存法の要件を満たしたソフトウェアであることが確認できます。 現在、使っている経費精算ソフトウェアがJIIMA認証ソフト以外の場合は、ソフトウェアの取り扱い説明書で電子帳簿保存法の要件を満たしているか確認してください。
上記の、社内規程と設備導入が大きなポイントですが、細かな要件については、電子帳簿保存法関係パンフレットをご確認ください。
まとめ
これまで制度の概要をお伝えしてきました。
制度の導入により、法人カードや会社用スマートフォンでの電子決済を利用することで経費精算の自動化が可能となったといえるかと思います。コロナ禍のご時世、リモートワークが主流となった会社において会社の業務改善のために一度導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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