コラム
令和4年度税制改正 住宅ローン控除

令和4年度税制改正 住宅ローン控除
(住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除)

※このコラムは「三井住友カードBiz」2022年6月号に掲載されます。


令和4年度税制改正によって「住宅ローン減税」は制度を4年間延長したうえで、控除率が引き下げられるなどの変更がありました。 具体的にどのように変わるのか説明します。


1.改正点
(1) 適用期限の延長
令和4年度税制改正によって、住宅ローン控除の適用期限(令和3年12月31日)を令和7年12月31日まで4年間延長されることになりました。


(2) 住宅ローン控除期間について
[1] 消費税率10%引き上げに伴う措置終了
控除期間を10年ではなく13年とする措置は、予定通り「注文住宅の新築は令和3年9月30日までに契約、分譲住宅等は令和3年11月30日までに契約、いずれも令和4年12月31日までに入居」をもって終了することとなりました。
[2] 改正後の控除期間
新築一般住宅の住宅ローンの控除期間は、令和4年・令和5年に居住開始した場合13年間、令和6年・令和7年に居住開始した場合10年間となります。(省エネ基準適合住宅やZEH水準省エネ住宅等の場合は、令和6年・令和7年に居住開始した場合であっても13年)ただし、中古で購入した場合の控除期間は、令和4年から令和7年まで一律で10年間になります。


(3) 控除率の変更
住宅ローンの控除率がこれまでの借入残高の1%から0.7%へ引き下げとなります。現在は、住宅ローン金利が1%を切るのが当たり前となっており、支払う利息よりも減税による節税額の方が多いことがかねてより会計検査院から指摘が入っており、今回の改正はその「逆ザヤ」を是正する目的から控除率の引き下げとなりました。なお、(2) [1]の要件に該当する方については、改正前の控除率1%が適用されることとなります。


(4) 借入限度額の変更
[1] 新築
ア.一般住宅
令和4年・令和5年は3,000万円、令和6年・令和7年は2,000万円までとなります。
イ.省エネ基準適合住宅
令和4年・令和5年は4,000万円、令和6年・令和7年は3,000万円までとなります。
ウ.ZEH水準省エネ住宅
令和4年・令和5年は4,500万円、令和6年・令和7年は3,500万円までとなります。
エ.認定住宅
令和4年・令和5年は5,000万円、令和6年・令和7年は4,500万円までとなります。
[2] 中古
ア.一般住宅
令和4年から令和7年は2,000万円までとなります。
イ.省エネ基準適合住宅、ZEH水準省エネ住宅、認定住宅
令和4年から令和7年は3,000万円までとなります。


(5) 所得要件の変更
住宅ローン控除が適用可能な所得要件が合計所得金額3,000万円以下から2,000万円以下に変更となりました。
この変更により、合計所得金額が2,000万円超の方については、これまで制度の適用を受けていた場合でも令和4年度以降は控除を受けられなくなる場合があります。


(6) 所得税額から控除しきれない場合の住民税控除額
住宅ローン控除額を所得税額から控除しきれない場合、翌年の住民税からも控除を受けることができますが、その上限が前年課税所得の7%(最大13.65万円)から前年課税所得の5%(最大9.75万円)に変更となります。


(7) 対象住宅
令和6年以降の新築住宅について、住宅ローン控除の適用を受けることができるのは、認定住宅等(省エネ住宅、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)、100年住宅)に限ることとなりました。


(8) 床面積要件
住宅ローン控除の適用を受けることができる住宅の床面積要件は50m²以上とされていますが、適用を受ける年の合計所得金額が1,000万円以下の場合には40m²以上と要件が緩和されます。ただし、この場合は令和5年までに建築確認を受けた新築住宅に限られることとなりました。


(9) 中古住宅の建築年数要件の廃止
令和4年1月1日以後に入居する中古住宅(登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降)については、新耐震基準に適合しているとみなして、これまであった木造等築20年以内、マンション等築25以内の築年数要件が廃止されます。


(10) 借入金の年末残高証明書の提出不要
令和5年以後の入居について、令和6年以後の確定申告、年末調整について借入金の年末残高証明書の提出は不要となり、手続きが簡素化されます。


2.全体図

改正前 改正後
入居時期 2021年(令和3年) 2022年(令和4年)
2023年(令和5年)
2024年(令和6年)
2025年(令和7年)

一般住宅 控除対象借入限度額 4,000万円 3,000万円 2,000万円
控除期間 13年 13年 10年
控除限度額(年) 40万円 21万円 14万円
最大控除額 480万円
(消費税率10%引上げに伴う措置)
273万円 140万円
2023年(令和5年)までに建築確認を受けた新築住宅に限る
省エネ基準適合住宅 控除対象借入限度額 - 4,000万円 3,000万円
控除期間 13年 13年
控除限度額(年) 28万円 21万円
最大控除額 364万円 273万円
ZEH水準省エネ住宅 控除対象借入限度額 - 4,500万円 3,500万円
控除期間 13年 13年
控除限度額(年) 31.5万円 24.5万円
最大控除額 409.5万円 318.5万円
認定住宅 控除対象借入限度額 5,000万円 5,000万円 4,500万円
控除期間 10年 13年 13年
控除限度額(年) 50万円 35万円 31.5万円
最大控除額 600万円
(消費税率10%引上げに伴う措置)
455万円 409.5万円

一般住宅 控除対象借入限度額 2,000万円 2,000万円
控除期間 10年 10年
控除限度額(年) 20万円 14万円
最大控除額 200万円 140万円
省エネ基準適合住宅・ZEH水準省エネ住宅・認定住宅 控除対象借入限度額 2,000万円 3,000万円
控除期間 10年 10年
控除限度額(年) 20万円 21万円
最大控除額 200万円 210万円
控除率 1.0% 0.70%
所得要件(適用対象者の適用を受ける年分) 合計所得金額が3,000万円以下 合計所得金額が2,000万円以下
床面積要件 50m²以上
合計所得金額が1,000万円以下の場合40m²以上
50m²以上
合計所得金額が1,000万円以下の場合40m²以上
(2023年(令和5年)までに建築確認を受けた新築住宅に限る)
弊社では、顧問先の経営者の皆様の住宅ローン控除等を含めたトータルのタックスプランニングについてもサービス提供を行っております。 顧問税理士にご自身の資産設計について相談したいとお考えの方は一度お問い合わせフォームまでご連絡ください。


税理士 内田 将希

 

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