決算書・申告書の作成はあくまで通過点!税理士の本来の役割とは(上)
※このコラムは「三井住友カードBiz」2024年9月号に掲載されます。
税理士の大切な役割の1つに決算書・申告書の作成がありますが、税理士の本来の役割はこれとは別にあります。
今回は、税理士の業務に触れつつ、税理士がお客様に果たすべき本来の役割について、2回に分けて解説いたします。
【1】お客様のお金を守ること
税理士の本来の役割の1つ目は、お客様のお金を守ることです。
税理士の代表的な業務に決算書・申告書の作成がありますが、作成すること自体が税理士の本来の役割ではありません。作成しないことによる無申告加算税などの課税や、適正な申告を行わないことによる後日の税務調査での不要な加算税などの支払いを防ぐことで、お客様のお金を不要な出費から守ることが本来の役割です。
つまり、決算書・申告書を作成すること"自体"が目的、すなわち役割ではなく、目的はお客様を不要な出費から守ることです。
【2】お客様をお金の悩みから解放する
税理士の本来の役割の2つ目は、お客様をお金の悩みから解放することです。
お客様(経営者)は様々なお金の悩み(業績・資金繰り・相続・事業承継など)を抱えています。
税理士は、業績については同業者比較などを駆使し、異常値があれば共に改善していき、資金繰りが悪ければ、キャッシュフロー計算書を使っての銀行借入金の分析や返済負担の軽減、また経費削減などによるキャッシュフローの改善を行います。また、相続、事業承継に伴う株価対策などは、お金の悩みの中でも特に大きな悩みの種になっています。
税理士は相続試算・株価評価から始まり、生前贈与・組織再編・事業承継税制・認定医療法人への移行などを行い、これらの悩みについて数年、場合によっては10年以上課題に取り組み、解決に導くことによってお客様をお金の悩みから解放します。
【3】お金以外のことのアドバイス
反対に、お金以外のことを適切にアドバイスすることは難しいこともあります。
経営の大きな悩みとして"人"の問題があります。税理士は自身や他のお客様の経験、一般的な見識からのアドバイスは可能ですが、税理士は経営のプロでないことが大半です。
なぜなら、大半の税理士(税理士でない担当者含む)は、私も含め経営をしたことがありませんし、税理士事務所の平均従業員数は約5名と少なく、所長であってもお客様(経営者)より経営の経験は乏しいでしょう。
肩書きに「経営コンサルタント」とあっても同様です。また、大規模な税理士事務所の代表であれば経営に長けているかもしれませんが、そういった人が担当者になるケースは極めて稀です。
こういった背景から、税理士は経営のプロではなく数字のプロの意味合いが強いので、アドバイスを受ける際はこの点に注意が必要です。
今回、税理士の役割について、お客様のお金を守ること、お客様をお金の悩みから解放することについてお話ししました。次回も税理士の本来の役割について解説いたします。
弊社では、お客様のお金を守ること、お客様をお金の悩みから解放することを目指して日々業務を行っております。今回のコラムが、皆様が税理士と向き合う際の参考になれば幸いです。
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