【2026年税制改正】自社株の評価額が高くなる?非上場会社の評価方法と今後の動向を税理士が解説
※このコラムは「三井住友カードBiz」2026年9月号に掲載されます。
非上場株式は、株主の立場や会社規模によって評価額が乖離する場合があります。この問題点から非上場株式の評価方法を見直すことが議論されています。非上場会社の評価方法と今後の動向を税理士が解説します。
【1】現状の非上場株式の評価方法
現状の非上場株式の評価方法は以下の3つがあり、会社規模や株主構成によって評価方法が決まります。
(1) 類似業種比準方式
(2) 純資産価額方式
(3) 配当還元方式
※(1)、(2)は原則的評価方式であり、同族株主が取得した株式の評価方法となります。
(3) は特例的な評価方式であり、同族株主以外の株主が取得した株式の評価方法となります。
《会社規模の判定》
非上場株式の評価をする際には、会社規模を判定する必要があり、「従業員数」「総資産価額」「取引金額」の3要素によって判定されます。
会社規模は、「大会社」「中会社」「小会社」の3つに分けられ、このうち中会社については、「中会社(0.9)」「中会社(0.75)」「中会社(0.6)」の3つに分類されます。
この判定された会社規模によって、適用できる評価額が変わります。
(適用する評価額)
| 会社規模 | 評価方法 |
|---|---|
| 大会社 | 類似業種比準方式 |
| 純資産価額方式 | |
| 中会社(0.9) | 類似業種比準方式×0.9+純資産価額方式×0.1 |
| 純資産価額方式 | |
| 中会社(0.75) | 類似業種比準方式×0.75+純資産価額方式×0.25 |
| 純資産価額方式 | |
| 中会社(0.6) | 類似業種比準方式×0.6+純資産価額方式×0.4 |
| 純資産価額方式 | |
| 小会社 | 類似業種比準方式×0.5+純資産価額方式×0.5 |
| 純資産価額方式 |
(類似業種比準方式)
類似業種比準方式とは、評価する会社と事業内容が類似している上場会社の平均株価を参考に評価額を計算する方法で、評価会社と類似会社の「配当金額」「利益金額」「純資産価額」の3つの要素で割合を算出して評価します。
-計算式-

(純資産価額方式)
純資産価額方式とは、評価会社の貸借対照表を相続税評価に評価しなおした場合の資産から、負債及び評価差額(含み益)に対する法人税等相当額を控除した純資産価額により評価する方法です。
-計算式-

(配当還元方式)
配当還元方式とは、少数株主にとっての非上場株式を所有するメリットが『定期的な配当の受け取り』であることに着目した評価方法です。
これは、経営に参加ができず、また容易に換金することもできないためです。
そのため、少数株主の所有する株式については、配当還元方式という方法により評価額を計算します。
-計算式-

【2】非上場株式の評価方法の改正について
(1) 背景
非上場株式の評価方法には、類似業種比準方式と純資産価額方式がありますが、基本的に類似業種比準方式による評価の方が低くなる傾向があります。
この類似業種比準方式は会社規模が大きいほど、適用できる割合が増加するため、会社規模が大きくなるほど評価額が低くなるという現象が起きており、同じような業務内容の会社であっても、会社規模により評価額が変わることで評価の公平性が確保されていないと結論づけられています。
また、非上場会社の大半が配当を支給しておらず、また、利益の調整等により恣意的に評価額を下げることが可能となっています。
配当還元方式についても、計算式の10%は昭和39年の金利水準を参考に設定されたものであり、近年の金利水準と比較して高い率となっており、社会経済状況の変化を反映していない可能性があります。
こういった観点から、評価の見直しが検討されています。
なお、この評価方法の改正については、2028年1月以降に新たな評価方法の適用開始が予定されています。
(2) 評価方法の改正に係る問題点
今回の検討内容の中には、非上場株式は不特定多数の当事者間で自由な取引ができないため、評価方法を相続に関連した評価と同等に考えることに対して違和感があるということや、非上場株式に係る税負担が円滑な事業継承を妨げているのではないかという問題点も挙げられています。
基本的に、今回の改正により非上場株式の評価が上がる可能性が大きいですが、上記の問題点により、事業承継税制の恒久化・拡充を同時に条件とすることも議論されています。
(3) まとめ
今回の非上場株式の評価方法の見直しについては、現状、どのような評価方法になるのかは公表されていませんが、2026年10月までには、具体的な改正案が議論され、2026年12月に税制改正大綱への記載がされる予定です。
改正案によっては、早めの対策が必要な場合も出てきます。
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