コラム
決算書・申告書の作成はあくまで通過点!税理士の本来の役割とは(下)

決算書・申告書の作成はあくまで通過点!税理士の本来の役割とは(下)

※このコラムは「三井住友カードBiz」2024年10月号に掲載されます。


税理士の大切な役割の1つに決算書・申告書の作成がありますが、税理士の本来の役割はこれとは別にあります。今回は税理士の業務に触れつつ、税理士がお客様に果たすべき本来の役割について前回に引き続き解説いたします。


前回、税理士の本来の役割について【1】お客様のお金を守ること、【2】お客様をお金の悩みから解放する、そして【3】お金以外のことのアドバイスは難しい、の3つの点について解説しました。(見逃された方は「コラム 決算書・申告書の作成はあくまで通過点!税理士の本来の役割とは(上)」をご覧下さい)今回はその続きとなります。


【4】お客様のキャッシュを増やす

前回はお金を守る・悩みから解放する、など「守り」の役割でしたが、昨今は「守る」だけでなくキャッシュを増やす「攻め」の提案も税理士には求められています。キャッシュを増やす提案とは主に下記のものがあります。


(1) 節税・税額控除
適切な節税はお客様のキャッシュを増やします。特に昨今の税額控除制度は適用しやすく、かつ控除額が大きいものもありますので提案をするとしないとでは大きな差となります。代表的なものには下記のものがあります。


・賃上げ促進税制
従業員の給与総額を前年比1.5%増加させた場合に給与増加額の15%の税額控除が受けられる制度です。給与増加額がキーなので条件に合致しやすく、また税額控除額も大きくなることも多いです。さらに給与総額を前年比2.5%増加させた場合や研修費を前年比5%以上増額させた場合に上乗せ措置があり、さらなる税額控除を受けることが可能です。(詳しくは「コラム 令和6年度改正!賃上げ促進税制について」をご参照ください。)


・経営力向上計画
一定の要件を満たした設備投資について即時償却(投資額が全額経費に入る)が行える制度です。基本的に設備投資前に経営力向上計画の認定を受ける必要があります。即時償却は設備投資年度に多額の経費算入が可能ですが、あくまで来期以降の減価償却費の先取りですので基本的には税金の繰り延べになります。また特別控除(設備投資額の10%を税金から控除)の場合は税額控除としてキャッシュが増加することになります。


(2) 経費削減
こちらはただ削減するだけでなく、下記のようにお客様の顧客・従業員等の満足度をできるだけ下げずに行うような長期的な視点での提案が税理士には求められており、短期的なキャッシュの増加のみを目的としないことが重要です。

・支払利息、水道光熱費など管理費用
・確定拠出年金
・固定資産税(支払額の適正化)
・相場より高く支払っている費用についてベンチマークを活用した削減


(3) 資産運用提案・補助金情報提供
これらもお客様のキャッシュの増加のためには必要な業務です。資産運用は新NISAで注目されていますし、補助金はコロナショックの影響もあり今も多種多様な補助金が展開されています。


資産運用については例えば下記の方法があります。
・新NISA
図にすると下記の様な制度となります。

区分 成長投資枠 つみたて投資枠
利用 併用可能
年間投資枠 240万円 120万円
非課税限度額
(合計枠)
1,800万円(枠の再利用可能)
1,200万円(最大)
非課税保有期間 無期限 無期限
口座開設期間 恒久化 恒久化
対象商品 上場株式・投資信託等
(整理銘柄等、信託期間20年未満の投資信託等の一定のものを除く)
金融庁の基準を満たした投資信託
(現行のつみたてNISAと同じ)
詳しくは「コラム 2024年度から始まる新NISAの変更点やメリット等を把握しよう」をご覧ください。


・変額保険
生命保険のうち、保険料の運用の成果によって解約返戻金や保険金額が変動するものを言います。保険料の運用については国内株式・外国株式・債券など運用先(コース)を指定することが出来ます。コースによっては年利平均10%を超える運用成果が出ているものもあります。
また一部の変額保険については保険料の40%を損金算入出来るものもあり、節税(課税の繰延)効果があるものもあります。


資金を全て円預金などに置いておく場合はインフレの影響を受けてしまい実質的に資金が目減りしてしまいます。実際2021年から2024年(IMFによる4月時点の推計)までの3年間で物価が8.2%上昇しているためその分目減りしています。資産運用はそういったインフレリスクから資金を守る役目も同時に果たしています。


また補助金について代表的なものは下記のものになります。
・事業再構築補助金
・ものづくり補助金
・IT導入補助金
・小規模事業持続化補助金
・事業承継・引継ぎ補助金
・中小企業省力化投資補助金 など


【まとめ】税理士の役割はお客様のキャッシュを最大化すること
税理士の役割は昔は決算書・申告書を作ることが出来れば一人前と言われていましたが、徐々に毎月の訪問から業績報告・分析・節税などが求められるようになり、さらに最近では提案が出来る税理士が求められています。
そしてその提案は
(1) お客様のお金を守る
(2) お客様をお金の悩みから解放する
(3) お客様のキャッシュを増やす

と、税理士が得意であるキャッシュに関することがメインであり、お客様のキャッシュを最大化することが税理士の本来の役割だと私は考えています。


今回と前回で税理士の本来の役割についてお話ししました。是非一度税理士の本来の役割についてお考えいただき、適切なアドバイスを求められては如何でしょうか。


米本合同税理士法人では顧問契約を行なっていない方を対象に、キャッシュを最大化することを目的に「税務ドック」というセカンドオピニオンサービスを行っております。ご興味のある方は是非アクセスしてみて下さい。

 

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